2016年2月に「食品廃棄禁止法」がフランスで成立したというニュースをご存知ですか?
食品廃棄禁止法は、これから食品業界で働こうとしている方であれば必ず知っておくべき、日本の食品業界に大きな影響を与える可能性がある法律となっています。
今回は食品廃棄禁止法の概要と、成立したことによる日本の反応などについて紹介します。
「食品廃棄禁止法」とは?
食品廃棄禁止法とは、賞味期限切れ食品の廃棄を禁止するための法律で、世界でも類を見ない画期的な施策であることから世界中の注目を集めています。
この食品廃棄禁止法が成立したことにより、今後フランスの400㎡以上の敷地面積を持つ大型スーパーでは、賞味期限切れ食品や賞味期限が近付いている食品の廃棄が禁止されることになりました。
そして、それらの食品は代わりにチャリティー団体やボランティア組織などへ寄付するよう義務付けられたため、 大型スーパーはそういった慈善団体との契約を2016年7月までに結ばなければならなくなったのです。
もしこのルールを破った場合は、最高で75000ユーロ(約1000万円)の罰金、もしくは最大2年間の禁固刑を課せられることになります。
食品廃棄禁止法には課題がいっぱい?
一見すると食品の廃棄量が減って貧困問題も解決できる、良いことづくめの法律のようにも見えます。
しかし、食品廃棄禁止にはいくつかの課題があるといわれています。
まず1つは、食品廃棄禁止法による罰則規定が適用されるのは「大型の店舗」のみで、400㎡未満の中小規模のスーパーマーケットが対象外となっているという点です。
フランスで発生する廃棄食品のうち、大手の店舗が出しているのは全体の5%くらいに過ぎないため、大型スーパーだけを 法律で取り締まってもあまり効果はないとフランスの商業流通連盟は指摘しています。
また、この法律が施行されたことによって、慈善団体に寄付する食品を誰が集めてどこに保管するのかといった、流通や人件費などの問題も新たに考えなければいけなくなりました。
食品廃棄禁止法はすでに成立されたものの、こういった課題がいくつも残されている法律となっているのです。
日本でも採り入れるべき?
最近では日本でも食品に関する不祥事が多発していることから、ネットを中心にこのニュースを受けて「日本でもやるべきだ」という意見が挙がっているようです。
日本では年間最大で800万トンもの食品が廃棄されています。
そのため、これまでに「3分の1ルールの緩和」など、食品ロスを減らすためのさまざまな取り組みが行われてきましたが、なかなか問題の解決には至っていません。
食品の廃棄を法律で禁止するのは、かなり極端なやり方だともいえます。
ただ、フランスのように「食品ロス」と「貧困」という2つの問題を、同時に解決することができるのであれば、日本でも採り入れるべきかもしれませんね。
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