2015年4月1日に始まった機能性表示食品制度。
制度導入から1年を経て、食品業界にはどのような変化が見られたのでしょうか。
機能性表示食品制度の現状と、今後の課題などについて見ていきましょう。
300品目以上の商品が届出
機能性表示食品制度は、商品を作る事業者がその商品の機能性をパッケージなどに表示することができる制度です。
2016年の4月までに届け出のあった商品は300品目以上にも及び、その売上も大幅に伸びています。
「目元のピント調節に」と表示されたサプリメントや「血中コレステロールが気になる方に」というトマトジュース、「丈夫な骨の維持に」と書かれた大豆商品など、その内容はさまざま。
こういった表示があることで健康志向の消費者からの支持が集まり、表示によって売上が高まっている商品も多いのです。
機能性表示食品制度の概要
消費者庁は機能性表示食品制度に関するガイドラインを定めており、このガイドラインに沿って機能性が表示されています。
この制度では栄養成分の含有表示や、どのような機能があるかを表示できるのですが、「高い」「低い」「低下」「上昇」など程度を示す表現はできません。
また「肉体改造」など意図的な健康増強を標榜する表現もできないという制限があります。
機能性を表示するには、販売前に安全性や機能性について消費者庁へ届け出る必要がありますが、特定保健用食品(トクホ)とは異なり、消費者庁の許可や審査は不要です。
最終製品を用いた臨床試験か、成分に関する研究レビューなどによる科学的根拠に基づき、事業者の責任において機能性を表示することができます。
臨床試験実施時の事前登録については、制度開始当初に設けられていた1年間の猶予期間が終了したため、2016年4月以降は試験実施前の事前登録が必須となっています。
届け出方法も郵送からオンラインに変更され、これに伴いガイドラインも一部改正されました。
安全性や品質の管理が今後の課題
機能性表示食品制度において、商品の機能性や安全性は消費者庁の審査を通したものではありません。
つまり、臨床試験や科学的根拠はあっても、いわば安全性は企業の「自己申告」といえる状況なのです。
どのような商品にどのような機能性があるのかという届け出の情報については、消費者庁のウェブサイト上でも公開されています。
しかし、専門用語が多く説明が難しいという声もあり、すべての消費者からの深い理解を得ているとはいえないのが現状です。
また、科学的根拠が曖昧な商品もあり、安全性や品質評価に関しては国の徹底した管理が必要ではという声もあります。
今後、届け出の方法によっては表示が「誇大広告」となってしまうおそれがあることも指摘されています。
「機能性食品表示だから安心! 効果大!」と受け入れるのではなく、消費者ひとりひとりが正しい目で商品を選別する必要があると言えるでしょう。
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