新しい介護食品「スマイルケア食」とは

老婦人と話す介護職の女性

高齢者の人口増加に伴い、農林水産省が検討を進めている「スマイルケア食」。

新しい介護食品として注目されていますが、まだまだ一般的な認知には至っていないようです。

今回はこれからの介護食を変える「スマイルケア食」について、ご説明します。

今後も進む高齢化社会

内閣府の高齢化社会白書(2016年版)によれば、2015年10月1日現在の日本の総人口は1億2,711万人。

そのうち65歳以上の高齢者人口は3,392万人で、総人口の26.7%を占めています。

高齢化率は今後も上昇の見込みで、2060年には2.5人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上になる「超高齢化社会」が到来すると推算されています。

高齢者人口が増加すると、要介護(要支援)認定者数も増加も予測されます。

それに伴い介護食品のニーズも拡大すると考えられており、農林水産省は新しい介護食品についての取り組みをはじめました。

従来の介護食品に見られる課題とは

これまでにも「介護食品」と呼ばれてきた食品はいろいろありましたが、その定義はあまり明確ではありませんでした。

噛むことや飲み込むことなど、食機能が低下した方が利用する食品を指すこともあれば、特に食機能や健康状態に問題がない高齢の方を対象にした食品を、幅広く指すこともあるという状況だったのです。

また、要介護認定者の食事については、施設や家庭での自助努力に依存する部分が大きく、介護食品の存在、おいしさ、使いやすさなどについての認知度は高くありませんでした。

こうした状況を改善し、介護食品を利用する人のQOL(Quality of life=生活の質)を向上させ、健康寿命の延伸を図ることを目的として農林水産省が検討を進めているのが新しい介護食品「スマイルケア食」です。

スマイルケア食を通じて介護市場の拡大を図ることで、食品産業および農林水産業の活性化も期待されています。

新しい介護食品「スマイルケア食」とは

食事を与える介護職の女性

こうして新しい介護食品の検討を進める中で、利用者および介護者・支援者がどの介護食品を選べばよいか、判断しやすくするために統一的な基準を示す必要が生じました。

そこで公募を行い「スマイルケア食」という愛称が決定しました。

スマイルケア食の対象となるのは、原則として在宅の高齢者や障がい者の方のうち、以下のいずれかにあてはまる人です。

    • 食機能(噛む、飲み込む)に問題があることから、栄養状態が不良
    • 食機能に問題があるが、本人および介護者の工夫により栄養状態は良好
    • 食機能に問題はないが、栄養状態が不良

また、現状は上記に当てはまらなくても、いずれかに移行するおそれのある人も対象となります。

以下がスマイルケア食の内容です。

      • 単品としての加工食品(レトルト食品など)
      • 個々の食品が組み合わされた料理
      • 料理を組み合わせた一食分の食(配食サービス、宅配食など)

これらについて、「食べやすさ」「低栄養の改善」といった点に加え、「食べる楽しみ」「見た目の美しさ」「入手のしやすさ」などにも配慮したものが、スマイルケア食と定義されます。

7分類のマーク表示で選びやすく

スマイルケア食は7つに分類されます。分類については、以下です。

        • 青マーク(1種類)
          食機能に問題がない人に向けた栄養状態に配慮した食品
        • 黄マーク(3種類)
          食機能にやや問題がある人に向けた食品
        • 赤マーク(3種類)
          食機能にとても問題がある人に向けた食品

青マークは農林水産省による利用許諾、黄マークはJAS規格への適合、赤マークは特別用途食品制度による許可が条件となっています。

それぞれに認定された食品は、マークを付けて販売することが許可されます。


利用者にとってはまだまだ複雑でわかりづらい部分が多いのも事実です。

今後、スマイルケア食のさらなる認知度向上に向けた環境向上などの取り組みが期待されています。

研究開発のお仕事ならRDサポート人材派遣

RDサポート人材派遣は、食品・創薬・製薬・臨床分野の研究開発職に特化した派遣会社です。理系出身のキャリアアドバイザーや担当営業があなたの転職活動を応援します。

研究開発職を希望する方の様々なライフスタイルやキャリアステージに合わせた転職サポートが強みです。派遣のお仕事を中心に、正社員紹介や複業支援を含めた長期的なキャリア提案を行っております。

現在転職を考えている方はもちろん、今のお仕事を続けていくべきか悩んでいる方、初めての転職で不安な方も、まずはRDサポートのキャリアアドバイザーに相談してみませんか。