企業から求められる派遣社員に必要なものって?派遣女子3人の本音座談会(後編)
目次
前編では派遣社員ならではのメリットを実体験をもとにお話しいただきました。
後編ではさらにそこから一歩踏み込んで、派遣社員のコミュニケーション術や今後のキャリアがテーマ。
三者三様の価値観から見えるリアルな派遣社員像をお伝えします。
相川 公子(あいかわ きみこ)さん
食品香料メーカー、中国茶メーカーを経て、夫の転勤のため8年間上海に駐在。2015年、帰国する。
食品関連の開発業務の経験を活かすべく、RDサポートに登録。現在は水産加工会社の商品開発業務に従事している。1児の母でもあり、家事・子育てとの両立のため、時短勤務中。
所有資格:栄養士
原田 芳美(はらだ よしみ)さん
社会人経験を経て、専門学校にて栄養士の資格を取得。その後は、資格を活かして料理教室の講師等を業務委託で請け負う。
RDサポートのサービスを受け、2016年3月より製粉会社にて調理・開発業務に従事。
所有資格:栄養士
金井 真美(かない まみ)さん
短大卒業後、1年間、販売業に従事した後、興味のある分析の仕事に挑戦するべく、RDサポートに登録。
業務未経験から食品原料メーカーで分析業務に就く。
就業開始から間もなく4年目を迎え、今後のキャリアを検討中。
所有資格:栄養士、フードスペシャリスト
職場の飲み会は行く? 円滑な人間関係に欠かせないマストな心得
――いろいろ楽しいお話をうかがいましたが、一方で派遣ならではの難しさを感じる瞬間ってどんなときですか?
金井:一緒に働いているけれど、同じ会社の人間ではないので、関係の築き方が正社員の頃とは微妙に違います。
飲み会に誘われたときも、他のみなさんが正社員の方ばかりなのに、私が参加していいのかな…って少し考えてしまうことも。
原田:私は、実は今まで飲み会は敬遠していたタイプ。
でもこの間行ってみたら、やっぱり距離は縮まるなと感じたんですよね。
相手と打ち解けるには、すごく効率的なコミュニケーション方法。こちらが勝手に遠慮しすぎるのも逆に良くないかも。
相川:私は子どもがいるので、そう多くは参加できないんだけど、原田さんの言う通り飲みニケーション自体はいい面もあると思う。
苦手だなと避けていた人ともお酒の場で話してみたら意外と仲良くなれたりして。
会社が違うと言っても、一緒に働く間柄であることは変わりない。
仕事が進めやすいよう日々適度なコミュニケーションは必要かなという気がします。
原田:ただし飲み会でいくら仲良くなったとしても、それを仕事に持ちこみすぎるのはNG。
オンオフを切り替えて、求められる価値をしっかり発揮することこそが、派遣社員の勤めかな。
業務をブラックボックス化させない! デキる派遣社員になるための仕事術
――職場のお話が出ましたが、就業先のみなさんと仕事を進めていく上で工夫されていることってありますか?
相川:責任が明確に求められない分、自分のやっていることをブラックボックス化しないっていうことは心がけていますね。
具体的には、週のはじめに必ず自分の抱えている業務の進捗管理表を更新して、全体に一括メールで共有しています。
子どもに何かあると急にお休みをとらなきゃいけない可能性もゼロではない。
そのときに周りに迷惑がかからないよう、常に自分の仕事の状態がどうなっているのか、誰が見てもわかるようにしておくことは、責任が問われにくい派遣社員だからこそ大事かもしれません。
金井:それ、すごく大事ですね。
相川:あとはメールを送るときも必ず上長をはじめ周辺の人たちをCCに入れておくこと。
プロセスの見える化は、派遣社員の必須項目ですね。
金井:派遣社員ってある程度業務内容が決められているので、就業中、どうしても手が空いてしまうこともある。
そんなときは単にボーッと時間をつぶすのではなく、全体のスケジューラーをチェックして、他のみなさんの業務モレやヌケがないか確認するようにしています。
もし気になるところがあったら、直接その人に対してアラートを出したり、「何かお手伝いしましょうか」って声をかけたり。
そういう気遣いが、職場から求められる派遣社員の小ワザかなって気がします。
――RDサポートからのケアを感じることもありますか?
相川:私、今月から週4勤務だったのが週5勤務に切り換わったんですね。
と言うのも、社会保険の対象になるには週30時間以上の勤務が条件で。これまでは週30時間以下だったので、社会保険の適用外だったんです。
ただ、慣れていくうちに少しずつ仕事のボリュームも増えてきて、週4勤務ではカバーしきれなくなったというのもあるし、何より私自身のこれからを考えたときに、週30時間以上しっかり働いて、社会保険に加入した方がメリットがあるんじゃないかと考えるようになって。
それで、勤務日数を増やしたいという結論になりました。
――そのことについて担当の営業さんと話をすることはありましたか?
相川:もちろんです。いろいろ法律について教えてもらうこともありますし、私がいくら勤務日数を増やしたいと思っても、就業先にそのニーズがなければ話になりませんから。
そこの交渉については営業さんが本当によく頑張ってくださって。
おかげで、今回の契約更新で希望通り週5で働くことができるようになりました。
金井:やっぱり相談できる相手がいるというのは心強いですよね。
私のところにも契約更新のタイミングで毎回営業さんが面談に来てくれて。
そこでいろいろ今後についてアドバイスをもらったりしています。
描く未来図は千差万別。スキルを武器に一人ひとりが納得のキャリアを
――今、金井さんから今後という言葉が出ましたが、みなさんはこの先のキャリアってどうお考えですか? これからも派遣社員を続けていきたいですか?
金井:私はいずれは正社員か契約社員になりたいなと思っています。
まる3年分析の仕事をして、任せてもらえる業務内容も広がって、確実にスキルが上がった実感はある。
ここで学んだものを活かして、長く働ける場所を見つけたいなというのが希望です。
原田:今は派遣の仕事をやりながらスキルを磨きたいなとは思っているけど、私もゆくゆくは正社員になりたい派かなあ。
やっぱりボーナスがもらえないのはちょっと厳しい。それに正社員の方が何かと安心材料が多いじゃないですか。
だから将来的に正社員としての雇用につながる紹介予定派遣もいいなって興味を持ちはじめています。
相川:私は逆にこのまま派遣を続けていってもいいかなと考えています。
私の場合、主人が転勤の多い仕事なので、いつどこでまた転居があるかわからない。自分ひとりの都合でキャリアプランを立てにくい状況なんです。
もし正社員になって主人が転勤になったら、結局何もかもが中途半端になってしまうのかなと考えると、自分のそのときの環境に応じてフレキシブルに働き方を決められる派遣社員の方が合っているかなって思うんです。
Writer’s Eye
働き方が多様化する現代。画一的な価値観やルールでは、自分の輝く場所はなかなか見つけられません。
特に、結婚や出産などライフイベントの影響を受けやすい女性の場合、理想のワークスタイルはまさに十人十色。今回お話を伺った3人も、それぞれ置かれている環境は様々でした。
まだ20代の金井さんにとっては、派遣はキャリアアップのためのジャンプボード。企業勤めの経験がなかった原田さんにとっても、派遣は「会社員」としての入り口という役割がありました。
一方、8年間のブランクがあり、現在も子育てと並行して働く相川さんにとっては、ブランクの不安を解消し、自分のプライオリティを守りながら強みを活かす最適な選択が、派遣という働き方だったと言えるでしょう。
派遣社員も正社員も一長一短。どちらかが秀でていて、どちらかが劣っていると簡単に論じられるものではありません。
大切なのは、自分の理想とする生き方にどちらがフィットしているか。
仕事とプライベート、様々な観点から自分の優先順位を明確にした上で、ベストな選択肢を選ぶことが、充実した毎日へのスタートラインと言えそうです。
取材・文:横川良明
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