有期雇用から無期雇用に?「2018年問題」を前に、13年間、同一企業で働いてきた私が思うこと。

派遣に興味はあるけれど、雇用が不安定なのが心配。そう不安に考える人は少なくありません。

派遣社員という道を選択した方が、安心して働き続けられるよう、2013年4月1日に改正労働契約法が施行され、同日以後に開始する有期労働契約を対象に「有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたとき、労働者の申込みにより期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できる」という、いわゆる「無期転換ルール」が導入されました。

あれから5年。ついに無期雇用契約の転換が始まります。

今回お話を聞く藤本さんも、その対象者のひとり。

13年にわたって同一企業で派遣社員として働き続けてきた藤本さんに、「派遣社員でありながら同じ職場で長期で働く」ことのメリットを聞いてみました。

藤本さんの写真

藤本 和代(ふじもと かずよ)さん

短大卒業後、大手飲料メーカーに新卒入社。正社員として品質管理、各種試験、官能検査などの業務に従事する。

その後、結婚を機に派遣社員に。RDサポートには2005年に登録。

以降13年にわたって大手製薬会社に就業。現在は医薬品原薬の研究補助業務に就いている。

同じ職場で働き続けるメリットは、時間の融通も意思の疎通もしやすいこと。

最初はこんなに長くひとつの会社で勤めることになるなんてまったく考えていなかったんです。

それがいろんなご縁があって、気づいたら13年。やっぱり同じ職場でずっと働いていると、いろいろとメリットがあります。

いちばん大きいのは、私のライフスタイルを理解した上で、スケジューリングについても融通を利かせてもらえるところ。

私は夫が福岡に単身赴任中のため、2~3週間に1度のペースで福岡へ行くのですが、そうしたときに退社時刻を少し早めてもらえたり、逆に出社時刻を少し遅らせてもらえたりできるのは、長い時間をかけて築いた信頼関係があるからこそ。

笑顔の藤本さん

あとは、私のスキルもよくわかってくれた上で仕事を与えてもらえるので、とても働きやすいですし、今の上司とももう13年の付き合いになるので、多少指示が省略化されても、どういうことを求められているのかよくわかる。

コミュニケーションをとる際に不便がないというのは、仕事の効率を考えた上でも、とっても快適です。

人の入れ替えが少ない職場なので、新しい人間関係にいちいちストレスを感じることもない。いい意味でとても楽だということは確かだと思います。

長く働いているからこそチャンスももらいやすい。仕事を通じて人の役に立つことができれば。

ひとつの職場で働き続けていると、仕事がルーティンになってスキルが伸び悩むと心配する人もいるかもしれません。

ですが、私の感覚ではむしろその逆。長年の信頼関係がある分、むしろ上司からはやったことがないことでも任せてもらえやすい気がしています。

笑顔の藤本さん

この間も他の研究所で用いられている機器を使って分析をしなければいけないことがあって、上司から直々に「やってもらえる?」と声をかけてもらいました。

イレギュラーな案件ほど、スキルアップの絶好のチャンス。

そういうときに私というカードを切ってもらえるのも、長い時間をかけて培った信頼の賜物だと思うんですね。

私自身、困っている人の役に立てることが一番のモチベーション。

と言っても、そんな大したことじゃなくていいんです。「このデータ良かったよ」「助かったよ」と言ってもらえるだけで、頑張ってよかったなという気持ちになります。

長くいる分、意思疎通は他の誰よりもとれる。だから他の人には8~9割まで説明しなきゃ伝わらないことでも、私なら5割の説明で十分。

そんなふうに社員の方から「不要な労力を省エネして仕事を頼める相手」だと思ってもらえたら、それが一番嬉しいですね。

直接雇用になることで、今まで不透明だった「評価」が明確になるのが嬉しい。

そもそも私が派遣社員という働き方を選んだのも、まずは家庭を第一にしたいという考えがあったから。

夫は転勤の多い仕事ですし、帰ってくるのが夜遅くなこともしばしば。

そんな夫とすれ違いなく生活できるという意味でも、基本的に定時で帰ることのできる派遣社員が、私にはぴったりでした。

じゃあ、どうして夫が単身赴任になったときに一緒に行かなかったのかと言うと、いろいろ理由はありますが、その中のひとつに今回の無期転換ルールありました。

私にとっては、とても嬉しいビッグニュース。

なぜなら、仕事自体は好きでしたが、唯一物足りなさを感じることが、なかなか明確な評価をもらえないということだったから。

笑顔でインタビューに答える藤本さん

今回無期雇用社員になれる可能性があるということは、RDサポートもそして今の就業先も、それだけ私を評価してくれたからだ、と自分では捉えています。

だから、一時的に夫と離れてでも、この仕事を続けることにしました。

具体的な話はまだこれからですが、できれば無期雇用に切り替えて、これからも楽しく働けたらというのが今の私の希望ですね。

※後日、雇用切替を行い、現在はRDサポートの無期雇用派遣社員として就業しています。

Writer’s Eye

非正規で働く人にとっては重大な岐路と言えるこの「2018年問題」。もちろん無期雇用契約が必ずしも自身の希望にマッチするかどうかは人それぞれです。

ですが、少なくとも選択肢ができたということは、働く人にとっては大きな前進だと言えるのではないでしょうか。

派遣社員という働き方を望んではいたものの、雇用に対する不安がネックだった人は、ぜひこのチャンスを活かしてほしいと思います。

取材・文:横川良明

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