食品、化粧品通販で急増する「お試し」トラブルとは?

食食品、化粧品通販で急増する「お試し」トラブルとは?

食品、化粧品業界で働いていると、お客様からクレームが入ることがあります。

中でも多いのは、「お試しサンプルを申し込んだつもりが定期購入になっていた」という、「お試しトラブル」です。

通販やネットショップの場合、お客様は店員と顔を見合わせてお買い物することができません。

そのためどうしても説明不足になる部分が出てきて、お客様に誤解を与えてしまうということが起こりやすくなります。

ここでは、食品、化粧品業界で働くのであれば知っておきたい、「お試しトラブル」についてご紹介します。

お試しトラブルは増加傾向

「お試しのつもりで申し込んだのに、定期購入になっていた」というお試しトラブルが、近年増加傾向にあります。

全国各地にある消費生活センター(東京都、埼玉県、愛知県、兵庫県)が発表した「2017年度相談概要」によれば、2017年度に受けた1都3県のお試しトラブルに関する相談件数は、前年度比28.6%増の6080件とのことです。

2016年度は、2015年度と比較して2倍以上増加していましたので、増加率は低下したものの、いまだ増加傾向にあるという事実には変わりがありません。

お試しトラブルは食品、化粧品業界で多い

食品(健康食品)、化粧品、飲料品は特にお試しトラブル発生件数が多い業界です。

中でも化粧品はトラブル発生件数の増加が顕著。2017年度の東京都では、食品(健康食品)の商品に関する相談件数が前年度比13.9%の増加であったのに対して、化粧品の商品に関する相談件数は69.9%の増加でした。

埼玉県でも食品(健康食品)18%の増加に対して化粧品62.8%、兵庫県では食品(健康食品)31.7%増、化粧品58.8%増と、化粧品のトラブルが急増している傾向です。

定期購入に関するガイドライン

定期購入に関するガイドライン

お試しトラブルの増加を受けて、消費者庁は購入条件を明確にせず申し込みを誘導する定期購入への対応強化を始めました。

消費者庁は2017年11月1日に定期購入に関するガイドラインと改正特定商取引法施行規則を公表し、定期購入の広告には、取引の条件や消費者が支払う代金の総額などの表示をすることが義務付けられました。

お試しサンプルの申し込みを受け付ける際には、仮にそれが定期購入を条件にしているならその旨を広告に表示し、また同時に購入者が支払うことになる代金の総額、契約の期間、契約条件などの表示をしなくてはならず、 お客様が誤解してしまうような曖昧な表示ができなくなったということです。

改正特定商取引法施行規則は同年12月1日に施行され、今後のお試しトラブル増加の歯止めになることが期待されています。


お試しトラブルは訴訟問題に発展することもある大きな問題のひとつです。お客様の誤解を招くような表示がもとで、実際に訴えられた企業も多くあります。

消費者庁の公表したガイドラインや、施行された改正特定商取引法施行規則は、トラブル増加の歯止めの一助にはなると思われますが、やはり、お試しトラブルをなくすためには、企業ごとに意識して広告表示に努めることが必要になります。

ただ表示するのではなく、誤解が発生しないようより明確な表示を心がけ、お客様も企業側も納得のいく取引ができるようにしなくてはいけません。

食品、化粧品業界に限られたものではありませんが、発生件数が特に多いこれらの業界で働きたいという方は、お試しトラブルが発生しないよう意識しておくとよいでしょう。

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